頭の中の箱
マジックをしていると、たまに無茶な事を言うお客さんが現れます。
「そのまま宙に浮いて」とか「これを(その辺にある物)消して、私のポケットから出してみて」とか「今、目の前で消えて、あそこのドアから出てきて」とか…。
このような事を言う方には、いくつかの特徴があります。
大きく分けると、“確かめよう”と思っていっている方と、“困らせよう”と思って言ってる方とに分かれます。
“確かめよう”と思っている方は、たまに居てるのですが、マジシャンを超能力者か宇宙人と思う方が居ます。(私も何度か聞かれました…)
そのような方には、『私はマジシャンなので、出来ません』みたいな感じで答えればいいと思います。
ここで『できますよ。ただ今はお腹が空いているので出来ません』なんて茶化すような事を言っても本気にしますので、やめておいた方がいいかと思います。
“困らせよう”と思っている方も、二つに分かれます。
無茶な事を言って、マジシャンがどうするかを見る、いたずら感覚で言ってくる方と、負けず嫌い感覚で言ってくる方が居ます。
いたずら感覚で言ってくる方は、年配の方に多いように思います。
“どのような返しをしてくるか”を見ているようです。
負けず嫌い感覚で言ってくる方は、マジックに対していいイメージは持っていないようです。
そのような方の特徴は、“マジック=インチキ”と言う図式があるようで、そのインチキが分からないから、腹が立つようです。
どちらにしても言えることは、頭の中に“マジック”と言う箱がなく、“インチキ”と言う箱と“超能力・魔法”と言う箱しか無いので、目の前で見た現象を、どの箱に入れたらいいのか分からないようです。
似たような話で「プロレスは格闘技なの?ショーなの?」と思っている人がいます。
その人の頭には“格闘技”と言う箱と“ショー”と言う箱しかないので、プロレスをどの箱に入れたらいいのか分からないようです。
マジックがもっと広まって、早く頭の中に“マジック”と言う箱ができたら、演じる側も変わってくるのですが…。
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